俄フェレリスタさん、相変わらず楽しい記事、ありがとうございます。
数値化、今のところ良いお点をいただいているので、安心させていただいております^^
片手BHダービー、艶やかさと優美さを添えて、マエストロが圧勝してくださいますように。
さて。
テニス記事担当記者や、ブロガーさんたちは、そろって健忘症を患っておいでなのか しら。。。
http://www.guardian.co.uk/sport/blog/2011/jun/26/big-four-nadal-djokovic-federer-murrayAt the halfway stage of the 125th edition of the championships, it is Federer who stands tallest among the big four of the men's game. After a brief sabbatical from greatness he is moving again like Nijinsky (the dancer) and hitting like Ali (not the prophet).
選手権、第125回大会の折り返し時点で、男子トップ4のなかでひときわ突出しているのはフェデラーだ。
偉大な業績からしばし有給休暇を取っていた彼は、再びニジンスキー(バレエダンサー)のように動き、アリ(預言者のほうではなく)のように打ちこんでいる。
http://www.independent.co.uk/sport/tennis/firstweek-report-federer-shines-nadal-stutters-murray-mixes-it-up-2303259.htmlNobody has looked in better shape than Federer. Questions were asked about his grass-court preparation when he pulled out of his warm-up tournament at Halle, but the Swiss has won the title here before without any competitive matches under his belt and has immediately settled back into a rhythm. When you have won this title six times it does not take long to become accustomed to the feel of grass under your feet.
フェデラー以上に良い状態の選手はいない。前哨戦のハレでの大会を棄権したときには、芝への準備が十分か疑問が呈されもしたが、かのスイス人(フェデラー)はほかの大会に出なくても、もうここでタイトルを獲得したことがあるのだし、すぐさまリズムを掴んだようだ。6度もタイトルを獲得していれば、芝の感触に慣れるのに、さほど時間は掛かりはしない、ということだ。
まったく掌を返すとは、このことかと
。。。
とはいえ、わたしの目にも、今のロジャーは、昨年のWB、フォアが打てなかったときや、今年の全豪SFの攻めに走り、エラーが増えたときとは、まったく違ってみえます。
去年のあの苦しい敗戦のあと、直近で結果が出る出ない、より、このWBで勝つために、芝のテニス(サーブと速い展開が生きるテニス)を構築するべく励んできたのではないかと思えるほどです。
もちろん、ロジャーはひとつひとつの大会で、真剣に勝ちを目指したと思うのですが(最終戦も狙っていましたし)、全体の流れとして、強打に走らずに精度を上げて勝率を上げる、のではなく、相手から時間を奪う、芝で勝てるスタイルを目指続けしたのでは、と見える、のです。
ここから痛みが出ずに(1回戦の後、少しだけあったようですが
)、精度を上げていくことができれば、決勝への進出への可能性は誰よりも高い、と感じています。
そこで問題になるのが、北海のかめさんが指摘されていた「ナダルへの苦手意識」。
わたしもかめさんに(北海の、を省いてもよいでしょうか~~(^_^;))同感です。
土曜のナル様との試合でも、立ち上がり、珍しくサーブが入らなかったり、エラーが出て、ブレイクまでされたのは、ナル様がよかった、のもあるでしょうが、若干の力み、のなせることだった気がしています。
いかに無心で挑む、とはいえ、苦戦の記憶があれば、勝ち越している相手と同じような余裕が持てないのは至極当然。
力みが取れるためには、狙ったウィナーが決まる、もしくは相手にもミスが出て楽に取れるポイントもある、ことが必要なのではないか、と。
全仏のFも、あのドロップショットが決まっているかいないか、が大きな分水嶺だった気がしています。
張り詰めていればいるほど、わずかな偶然が勝負の明暗を分ける。
残念ながら、運が味方してくれなかったことが、ロジャーの悪夢の記憶を呼び覚ましてしまい、目の前のナダルというより、ロジャー自身のなかの亡霊に一時敗れてしまった、という感じでした。
ただ、ここからは、わたしはまた少し意見が分かれます(ほかの皆さんはまたいろいろだと思いますが)。
もちろん勝ってほしい。
目指し続けた努力が、ここで報われてほしい。
ともに歓喜に浸りたい。
でも、それは運にも恵まれ、奇跡的な集中を見せる試合ができたら、ということで、根本的になにかを変えてほしい、わけではないし、
また、どうしても勝たねばならない、とも思っていない、のです。(;_;)
いかに相手の裏をかくか、ということが競技の基本であるテニス、はplay uglyがむしろ基本
そのなかで、ロジャーは正統派ではなく、むしろ異端中の異端、
ひときわ異彩を放つ魔術師、というのがわたしのロジャーの捉え方です。
危機に陥るリスクを取ってでも、キラードロップを決めたい
ありえない角度にフォアのクロスを叩き込みたい
オーバーヘッドロブをコートの隅に落としたい
ロジャーのテニスは、art。
内からこみ上げてくるリズムを鍵盤の上に躍らせすにはいられないピアニストや、ふつふつと湧いてくるイメージをキャンバスに映しださずはいられない画家にも似て、
己のうちに浮かんでくるアイディアをコート上に具現したくて、プレーしている
だから勝利に倦んでしまったボルグと違って、すべてを達成し、30歳を目前に控えた今もまったく燃え尽きることなく、
それどころか、生まれたての子どものような旺盛な意欲をもって、新たな興奮を求め、勝利に突き進んでいける
目指すのは「勝つこと」そのもの、ではなく、「ほかの誰にも再現できない、技と意匠に富んだ芸術的なテニス」で、
その結果、勝ちたい、
サービス精神旺盛で、人を魅了すること、人に愛されることが大好きなロジャーは
センターコートいっぱいの人をわくわくさせ、酔わせ、感動を共有したい。
だからこそ、ここまでで最高のショットが09全米SF(ジョコ)の、MP目前でのtweener、なのでしょう。
ニジンスキーまで持ち出してこられる競技選手(フィギュアでもないのに(^_^;))がほかにいるとも思えません。
動きの優美さ、だけではなく、特殊な陶酔をもたらす、稀有な選手だからこその比喩、と、わたしは考えています。
一方のナダルは、そういう意味ではむしろ古典的、「勝つこと」そのものに強く執着、自分のペースを強烈に主張(コートに出るタイミング、サーブの間隔)、内容で負けていようが、とにかく「勝利」を目指す。
play gracefulと形容されそうにはありませんが、ルール違反なわけではない。
そして非常に優れた選手、です。
どちらもが優れた選手同士、
ぶつかりあって、窮地に追い詰められれば、それぞれの地金が出てくる
ロジャーは本能的に、更にレベルを上げて鮮やかに勝ち切ろうと目指し
ナダルはなにか自分が有利になるものはないか模索する
従ってロジャーが勝つ=まずは集中して試合に入れ、重要な局面で運にも恵まれ、奇跡のようなプレーの質をずっと保ち続けられること、になり、必然的に勝率は低くなる
それをもって、ナダルのほうが優れていると捉える人はそう思えばいい、とわたしは考えています。
奇跡のように美しく、多彩で華麗なテニスを、かくも長く続けられるのは、ロジャーの、偽りない本心から湧き出てくるイメージ、と、それを愛する心があってこそ、
勝率のために失ってほしくないもの、だし、ロジャーはロジャーであり続けてくれるはず、とも信じています。
喩として適切かどうかよくわかりませんが(大汗)、
こちらの実生活に役立つ、という観点に立てば、白鳥より鶏のほうが遥かにいい、
だからといって、優美に浮かんでいる白鳥に、オムレツを作りたいから今日だけ鶏になって、と言ったところで無理に決まっている。
白鳥は白鳥のまま、
うまく罠にかからず、華麗に飛び立てますように。
まずは無事、QF進出を(。-人-。)